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Devcon SEAの体験記

特任研究員の伊東です。2024年11月11-15日にかけてバンコクで開催されたDevcon South East Asia (Devcon SEA) に参加したので、この記事ではそこで得た印象や感想をまとめます。


*DevconはEthereum Foundation (EF) が主催する技術カンファレンスです。扱う内容が非常に網羅的であるため、Ethereumの現在を知ることができる総合的なイベントといえます。僕にとってはこれが初めてのDevcon参加でしたが、知人いわく今回が歴代でもっとも大規模かつ豪華とのことです。


女王の名前を冠する国立のコンベンションセンターが会場


とにかくデカくて広い


食事も豪華で、日替わりでタイや周辺国の名物が無料で提供される


トロピカルドリンクも無料!


マッサージまで無料!!




アプリケーションよりもプロトコルの議論が多い


Ethereumはさまざまなアプリケーション開発が行える点が特徴ですが、その割に今回のDevconではアプリケーションよりもプロトコルの議論が多いなという印象を受けました。


これはアプリケーションを軽視しているわけではなく、優先すべきプロトコルの論点があまりにも多いことが理由なのでしょう。


現在のEthereumはスケーリングの問題を解決するためにプロトコル自体がかなり複雑化しており、Bitcoin Protocolなどと比べても議論すべき内容がはるかに多くかつ増え続けています。


*そんななかでもアプリケーションはDeFiと予測市場が比較的多く言及されているように思いました。また、技術で括ればゼロ知識証明を用いたアプリケーションのセッションが盛んでした。




プロトコルの議論はチェーンの抽象化がトレンド


具体的に、プロトコルの議論はチェーンの抽象化 (エンドユーザーが「どのチェーンを使っているか」を意識することなくEthereumを利用できるようにする試み) がトレンドに見受けられました。


Ethereumにおけるスケーリングの議論の流れを振り返ると、おおまかには次のような展開が見られます:


  • Devcon 5 (2019, 大阪):スケーリング解決策のひとつとしてL2が提案されている段階

  • Devcon 6 (2022, ボゴタ):L2が有望な解決策として認識され始め、乱立するL2については自然淘汰が進むだろうと思われていた段階

  • Devcon SEA (2024, バンコク):L2の乱立を踏まえ、チェーンの抽象化を通じてユーザビリティ向上を目指す段階


こうした展開を踏まえて、たとえば

  • zkSNARKs

  • アカウント抽象化

  • インテント

などの技術・設計を通じたチェーンの抽象化が盛んに議論されていました。


*スケーリングに関しては、その他にもL1自体の大規模アップデートやEthereumが公式でL2を作成することの提案などがセッション発表されていました。




Devcon自体もスケーリングの問題に直面しそう


プロトコル偏重を感じた一方でDevcon SEAの網羅性は非常に高く、それを実現するためのイベント設計は本当に素晴らしいものでした。


たとえばCommunity Hubという常設スペースを用意することでメインのセッションでは扱いきれない論点 (e.g., NFT) をカバーしていたり、セッションの時間割と場所をトピック毎(e.g., ZK, MEV)におおまかにまとめていたり、beginnerタグの付いたセッション (e.g., Ethereumとは何か?) を複数用意することで初心者への門戸を開き続けていたり…


こうしたさまざまな工夫は、今年から公開講座をはじめた身としても大いに参考になりました。

セッション会場以外でも、常に何かが行われている


ささやかなお子様スペース

会場のトイレはベビールーム完備で、赤ちゃん連れで来場している方々もいました


足元に落ちている封筒を開くと、Devcon会場を舞台にした謎解きゲームの招待状だった

これ以外にもさまざまなところから、来場者を楽しませようという心意気が感じられる


しかしそれを踏まえてなお感じるのは、Devcon自体もスケーリングの問題に直面しそうだということです。


年々複雑化・タコツボ化するEthereumの論点を、Devconは果たしてこれからもうまく捌けるのでしょうか?

会場の大規模化にも限界があるだろうし、さらなるマネジメント力が必要になるだろうことを考えると、これは相当難しいことなのではないかと思います。




おわりに


初のDevconは僕にとって、凄まじい規模と熱気で気分が盛り上がると同時にイベントのスケーラビリティが心配になるという不思議な体験でした。


会期後でもセッション動画は無料でアーカイブ視聴が可能なので、Ethereumの現在に関心がある方はご覧になることを強くおすすめします。

*僕も復習としていくつかの動画を見直すだろうと思います。

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