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  • 執筆者の写真田原 弘貴(学生スタッフ)

ブロックチェーンを技術の説明(ほぼ)なしで説明する

技術系のブログを始めるにあたってまずはブロックチェーンとはなんぞや,というところから始めたいと思います.

とはいえ,ブロックチェーンと一口にいっても様々なものがあり,一概どうとはいえません.(特に参加者が限られているプライベートブロックチェーンと誰でも参加できるパブリックブロックチェーンは大きな差がある.)

また,ブロックチェーンは色々な技術から成り立っており,それらをいちいち理解するのも骨が折れます.

ということで今回はほとんど技術面の説明をしないで,かつ様々なブロックチェーンの差異も考えずに,本質的にブロックチェーンとは何か,そしてどんなメリットがあるかについて説明します.


ブロックチェーンとは一言で言うと「コンピュータの力を借りて,すでに定義された契約のコンセンサス(すり合わせ)を自動化するシステム」です.


例えば,AがBに来月3億円渡す,という契約をします.(これが「契約の定義」です)


契約を定義します

一方Bさんは次の月,3億円の請求書を送ります.

そしてAさんはそれを確認後,Bさんに3億円を渡します.

それを確認後,Bさんは3億円の領収書をAさんに送付します.


すり合わせの機会は三回あります

ここでの「すり合わせ」の機会は三回あります.

一回めはAさんが請求書を受け取った時.ちゃんと契約通りの金額か確かめます.

2回目はBさんが3億円受け取った時.お札の枚数を数えてきっちり3億円か確かめます.

そして最後はAさんが領収書を受け取った時.ちゃんと3億円払ったのに領収書に「2億円」と書いてあって後から1億円余計にBさんから請求されたら堪ったもんじゃありません.


この場合,すり合わせの一部はコンピュータに任せられても最終確認やもし食い違っていた場合の相手への問い合わせや,その後の相手との揉め事は全て人がやる必要があります.

これは大きなコストを伴います.

確認作業や問い合わせでは人手を使い,場合によっては責任者が必要になります.

また訴訟になった時のコストや,向こうに騙されて正当な権利を行使できない場合のコストなど様々なコストが生じます.

これらの人的・社会的コストがすり合わせには伴い,それは不確定リスクであるとともに業種によっては膨大なコストとなります.(例えば金融業)


ではどうしたらこのすり合わせの作業を自動化できるでしょうか.

答えは「お互いの正しい情報を”改竄されないように”持ち合えばいい」ということです.

どういうことか.

先ほどの「AさんがBさんに3億円渡す契約」では,お互いのお財布情報を持ち合えばいいのです.そうすればAさんがBさんにちゃんと3億円送って,きちんとBさんが受け取ったのかお互いのお財布の中身をコンピューターで調べれば,自動的に確かめられるようになりますし,強制的に契約内容に従わせることが可能になります.


よって「AさんがBさんに3億円送る契約」はその契約が定義され,合意されれば後のすり合わせは自動化されます.よって人的・社会的コストが大きく引き下げられます.

ただし,注意したいのは契約自体の人的・社会的コストを下げるわけではないということです.

例えば「AさんがBさんに3億円送る契約」そのものが不当なものだった場合,それは人の手で解決してあげる必要があります.



お互いの情報を持ち合います

ところで「お互いの正しい情報を”改竄されないように”持ち合えばいい」の”改竄されないように”するための工夫ですが,これにはいろんな暗号技術を組み合わせて利用していますが,技術的な側面になるので今回は割愛します.


世の中を賑わせている「仮想通貨」も要はお互いの残高や送金のデータ(あるいはそれが正しいことの証明のみ)をみんなが所有することで,お金のやりとりの上記のような「すり合わせ」を自動化し,ズルを防ぐことで中央銀行のいらない貨幣システムを構築しているのです.


なので,ブロックチェーンの一番のメリットは「すり合わせ」を自動化することなのです.

よく「なんでもデータをブロックチェーンにしまおう」と考える人がいますが,それは返ってコストが高くついてしまいます.

なぜならブロックチェーンが下げるのは社会的・人的コストであってストレージコストではないからです.ブロックチェーンが威力を発揮するのは

1.すり合わせに人的・社会的なコストが(比較的多く)かかる場合

2.不特定多数など従来はすり合わせや合意を取ることが不可能だった対象との取引


のおもに2パターンだと思います.

ただ,今後ブロックチェーンは大きく進化して行くと思われる上,まだまだユースケースが眠っている状態なのでこれ以外にもたくさんのメリットが出るかと思います.

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