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執筆者の写真田原 弘貴(学生スタッフ)

Ethereum DEVCON4に行ってきました

更新日:2020年7月31日

先月,Ethereum の開発者のカンファレンスであるDEVCON4に参加するためプラハに行ってきました!この記事ではそこで感じたこと,特にEthereumは他のチェーンと何が大きく異なっていると感じたか,について書いていこうと思います.

入り口の様子.約3000人が参加した


 

 全体の雰囲気としては会議,というよりもお祭りのような感じでした.ラウンジでは常時軽食が用意されており,参加者同士で気軽に交流できました.各セッションには自由に参加でき,各企業の研究成果や開発しているプロジェクトの紹介が多い印象でした.ただそこまで目新しい情報は多くなく,ENS(Ethereum Name Service)やzk-STARKsなど各プロジェクトのGithubやMediumを見れば事足りる感じでした.

 しかし,細かい技術的な部分は置いておいて全体を通してEthereumが目指しているであろうビジョンや考え方がすごく伝わってくるカンファレンスでした.私が一番感じたのは「Ethereumは次世代の”文化”になろうとしている」ということでした.その文化は,Decentralizedでかつ多様性に満ちているものです.そのことへの表明があらゆるところに見られました.例えばロゴやあらゆる装飾が虹色だったり,各部屋の名前が光の現象の名前(PrismやSpectrumなど)であるところ.また最初の挨拶でAya Miyaguchiさんが出てきたことも象徴的に感じました.(ただし,実際のプロジェクトのほとんどはアメリカ・ヨーロッパの男性中心でしたが) さらには一番最後のセッションでハッカー文化を作り上げた作家あるスチュアート・ブランド氏(Wiki)が登壇したのが特に印象深かったです.


会場から眺めるプラハの街並み

 将来,我々はP2Pで自由で手軽なやりとりをあらゆる人とする.その時に必要なのはスケーラビリティだけではなく,ガバナンスの絶対的な安全性への信頼,プライバシー,そして何よりそういったブロックチェーンを感じさせない仕組みづくりにあるような気がします.Ethereumはそんな世界観の中心的なインフラ,空気のような存在になりたいのだと感じました.

 だからこそ,EOSなどのようにガバナンスを緩めてまでスケーラビリティを追求しようとせず(それをしたら信頼が失われる),Serenityという最終アップデートに向け,PoSへの攻撃可能性やクロスシャードの問題などの様々な難問に正面から向き合っています.またBitcoinのように完全に分散型の開発者コミュニティにせず,Ethereum Foundationが常にイニシアティブを取るのはこのビジョンを達成する旗頭が必要だから.そして,ブロックチェーンを感じさせないために,他のチェーンよりもENSなどUXについてのプロジェクトが盛んなのです.

オープニングセッションにてEthereum2.0(=Serenity)の説明をするVitalik


 そしてこのDEVCON4はそうしたビジョンをEthereumのコミュニティ全体で共有する場であると感じました.今回のDEVCONは投資目的の参加はNGな上に,全体の合言葉が”BUIDL"(BUILDのスペルミスでコミュニティの支援のために投資ではなくプロダクトを作り続けていくこと)などからもわかるようにこのビジョンを共有して大きく広げていく目的があると思います.

 このようにDEVCONを通してバラバラに感じていたEthereumの活動の様々な側面が,会場の雰囲気を通してストンと腑に落ちたような感じがしました.そしてSerenityが成功した後のEthereumは歴史に残る凄いシステムになるのではないかとワクワクしました.

 そんなEthereumが目指すビジョンや可能性を強烈に感じた1週間でした.

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