2024年度公開講座受講体験記(学生)
- shibano
- 2月26日
- 読了時間: 6分
1. 自己紹介
堀 龍之進(ほり りゅうのしん)と言います。現在、東京大学大学院 学際情報学府社会情報学コース修士課程の学生です。研究室ではDAO (Decentralized Autonomous Organization)を定量評価するための研究を行っています。過去には、ブロックチェーン関連のスタートアップ企業にて、約3年間インターンを経験し、ブロックチェーンを活用した新規事業企画などに携わってきました。講座を受講する前からブロックチェーンの基本的なところは抑えていましたが、開発に関しては独学でスマートコントラクトを書いたことがあるくらいでした。最近はちゃんと技術を追いきれていないのですが、現実の取引をどのようにブロックチェーンで真に証明することができるかというオラクルの部分にはずっと興味があります。ZKP (Zero Knowledge Proof), MPC (Multi Party Computation), FHE(Fully Homomorphic Encryption)などのProgrammable Cryptographyの分野に関しても注目しています。
2. 受講動機と期待
座学だけでなく、開発に関する実習的な講座もあるというところが魅力的だなと思いました。それまで、ブロックチェーンの開発を独学で行い挫折しがちだったのですが、初心者向けの講座ということもあってキャッチアップできるかも、と思ったのが一番大きかったです。自分は技術書や参考書を読みながら勉強をすることがあまり得意ではなく、対面や動画の方がキャッチアップしやすいので、貴重な機会だなと思いました。また東大で誰にでも門戸を開いてブロックチェーンの授業を開催することへの期待感も大きかったです。また、web3に関心のある大学生と交流できればと考えていました。結果的にはほとんどが社会人の方だったので、もう少し次回は学生割合が増えるといいなあと思いました。
3. 講座内容と体験
自身の受講の仕方
開発系の講座は特にちゃんとキャッチアップしようと思っていたので、オフラインで出席し、他の座学はオンラインで受けていました。YouTubeで後日配信されたものを見て勉強することが多かったです。
講座のカリキュラムや内容で特に印象に残った部分
やはり1番印象深かったのはグループワークです。NFTがもらえる最終テストで選抜するのが斬新でしたし、何よりグループワーク始まってからのアイデア出しから実際にプロダクトを作るところまでやりきれたのは大きな経験でした。
グループメンバーもめちゃくちゃコードかける人からコードをほとんど書いたことがない人まで多種多様でしたので、色々と化学反応が起きていました。基礎が全員バラバラの中で、どのように役割分担して、プロダクトを作っていくかについては経験者の方は苦慮されていたように見えました。色々と教えていただきありがとうございました。特にコードを書いたことがない方たちgitの使い方からのキャッチアップが必要となり大変そうに思いましたが、一通りやり切れると段違いでできることが増えるようになっていました。実際に私のグループでも実習の最初は全くコードを書いたことない人が最終的にはスマートコントラクトを書いたり、フロントエンドのステート管理をしているなど成長していました。自分も特にフロントエンドでデプロイしたコントラクトを動かすところは検証できるための一連のファンクションをまとめたページを作成したりしていたので、フロントエンドとバックエンドの繋ぎ込みのところや、どのようにフロントエンドでスマートコントラクトを叩いているのかはよく理解することができました。ZKPの部分でも具体的にproofを生成してそれをコントラクトに投げる部分の実装を一部担当したので、ZKPに関する開発の部分もキャッチアップができました。生成AIでコードに関してはある程度のものを解説付きで出してくれる時代なので、初心者でも取り組みやすい環境は整ってきていると感じます。
とはいえ、私のチームには一人強いエンジニアの人がいてくれてなんとかなったので、初心者だけだと難しいなと感じましたし、常に色々と調整をしてくださった経験者の方には本当に感謝しています。
座学自体も受講してみるとブロックチェーンをさらにかなり深ぼっているので、普通の技術書では取り上げられない仕組みが次々と出てきて、かなり低レイヤの方まで教えていただけるので大変勉強になりました。ブロックチェーンそのものの根幹部分だけでなく、ZKPやDAOなどブロックチェーン技術と関連した回があるのも非常に魅力的でした。
ただし、かなり長期間にわたり授業が続くので、途中でアーカイブもあるし、ということで中だるみする人は多いかもという印象でした。実際私も途中忙しくなった時期には1ヶ月くらいサボりました。
4. 受講後の変化
1つちゃんと動くDapps (Decentralized Applications)を作り切ったことで、Dappsに限らず、普段のアプリケーションでこの機能はこういう動きをしているのかも、ということをなんとなく掴めるようになりました。あとは何よりコミュニティが広がったのが大きいですね。今回のグループワークで知り合った方からお誘いいただいてETH Globalのハッカソンに出てみるなど、グループワーク後も一緒に開発することができて嬉しいなと思います。
5. これから受講を検討している方へのメッセージ
やはりグループワークを通して、他人とコミュニケーションしながらブロックチェーンアプリを開発できる経験を得られることが一番この講座のいいところだと思いますので、ブロックチェーンの開発に挫折した人や、コードが全く書けないけどこの機会にキャッチアップしたい人には非常におすすめだと思います。今はChatGPTとメンターの方と経験者に聞けば初心者の開発の悩みは大抵のことは解決できます。あとはモチベーションだけです。
期間が長いので、途中でモチベーションが切れて中だるみしがちですが、最初の方は講座に対面で出席して一緒に頑張ることのできる仲間を見つけるのがおすすめです。
必ずしも全ての授業に出席する必要もなく、授業の様子もアーカイブに残してくれるので忙しい方でスキマ時間にブロックチェーンの最新動向についてキャッチアップしたい方にもおすすめかなと思います。
経験者のエンジニアの方もグループワークだけでも参加いただけるとレベルが違うチームを自分がリードするにはどうすればいいか、ある意味技術力とは関係ないところも色々実践することができると思います。
学生の方は社会人で経験を積んだ方と一緒にチームワークで作業できるので、普通の大学の授業とはまた違った良さがあると思います。資料作りやチームコミュニケーションの部分で学生と社会人との差を実感する部分も感じられ刺激になりました。
いずれの方々にも何か1つやりきる、チームでプロダクトを作りきるという経験をぜひこの講座を通して獲得していただきたいです。