> ブロックチェーン応用実践プログラム
異分野との探求を通じて、ブロックチェーンの新たな可能性を創発する。
東京大学が提供する分野横断・実践型専門プログラム。
> ブロックチェーン応用実践プログラムとは
応用実践プログラムは、探求と創発をキーワードに、ブロックチェーン分野の第一線で活動する国内外のプラットフォーマーやコミュニティと連携しながら設計された、実践・専門特化型の選抜制プログラムです。
東京大学の学術的知見と、実用的なアプリケーション創出やエコシステムの発展を主導してきた主要ブロックチェーンプラットフォーマーおよび日本コミュニティが有する最前線の知見を融合し、単なる知識習得にとどまらない高度な学習環境を構築しています。分野横断的な学習・議論・アウトプットを通じて、新たな価値の創発を担う人材の育成を目指します。
ブロックチェーン技術は、2009年に発表されたビットコインの論文を起点とする比較的新しい技術であり、その歴史はまだ浅いものです。一方で、この10年余りの間にDeFiやNFTといった新たなユースケースが登場し、ブロックチェーンを取り巻く環境は急速かつ大きな変化を遂げてきました。
現在、ブロックチェーン上で流通している資産の多くは暗号資産であり、その価格変動の大きさや不安定性が指摘される場面も少なくありません。しかしながら近年では、ステーブルコインの普及や、RWA(Real World Asset)領域における活用の進展などを通じて、ブロックチェーンが投機的な資産基盤にとどまらず、実社会を支える金融プラットフォームとして利用され始めている点に注目が集まっています。
応用実践プログラムでは、ブロックチェーンを社会的な基盤技術として捉え直し、社会に資する実装とは何かを多角的に考えるための学びの場を提供します。金融分野における次世代インフラとしての活用はその代表的な一例であり、実社会との接点を具体的に検討するための重要なテーマの一つです。
こうした基盤技術としての視点は、金融分野に限られるものではありません。近年、ブロックチェーンは、コンテンツ、知的財産管理、DAO(分散型組織)、デジタルアイデンティティ、AIとの連携など、多様な領域へと応用範囲を広げつつあります。パブリックチェーンの高い透明性は大きな特徴である一方、プライバシーとの両立が課題となっており、社会基盤としての活用を支える暗号技術の重要性が高まっています。
このような多様な応用可能性を適切に理解し、分野横断的な視点から活用方法を構想できる人材の育成は、今後ますます重要になると考えられます。
> 学習スタイル:SG(スタディグループ)制
参加者はいずれかのSG(スタディグループ)に所属し、専門分野に特化した学習・議論に取り組みます。各SGは分野やテーマに応じて設計されており、規模や学習スタイル、到達目標もそれぞれ異なります。
実施予定のSG:
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金融×ブロックチェーン
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暗号×ブロックチェーン
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現代美術×ブロックチェーン
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モビリティ×ブロックチェーン
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Web3プロダクト
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高校生限定コース
所属するSGに加えて、他のSGの活動に参加することも可能であり、関心に応じて分野横断的な学びを深めることができます。なお、各SGには定員や求める人物像、想定する成果が設定されているため、応募にあたっては各SGの案内(カリキュラムの詳細については後日公開します)を十分にご確認ください。
また、希望者を対象として、SGの枠を超えて参加者同士がチームを組成し、新たなビジネスアイデアや企画の創出に取り組むプログラムも並行して実施します。
本プログラムでは、以下のような学習設計の特徴を採用しています。
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ディスカッションを基本とした密度の高い学習環境
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高い主体性を前提とした能動的な参加
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継続的なアウトプットを通じた理解の深化
> SG紹介
各SGの概要を紹介します。
金融 × ブロックチェーン - プログラム設計・運営:芝野恭平(東京大学)
近年、RWA(実世界資産のトークン化)やステーブルコインの普及などを背景に、伝統的な金融システムとブロックチェーン技術の融合に対する関心が世界的に高まっています。一方で、金融分野は長い歴史の中で制度・市場・インフラが精緻に設計されてきた領域であり、その全体構造を十分に理解しないまま技術を導入することは、かえって非効率や新たなリスクを生む可能性も孕んでいます。 こうした状況を踏まえ、本SGでは、表層的な技術導入にとどまらず、既存の金融システムを深く理解した上で、ブロックチェーンがどのような場面で本質的に価値を発揮し得るのかを構造的に考えられる人材の育成を目指しています。伝統的金融と新技術の双方を高い解像度で捉える視点を養うことが、持続的な社会実装に向けた重要な基盤になると考えています。 本SGでは、RWAやステーブルコイン、DeFiといった個別トピックを断片的に扱うのではなく、既存の金融システムがどのような構造で成立しているのかを理解した上で、ブロックチェーンがどこに有効に作用し得るのかを検討することを目的とします。 単にTradFi(伝統的金融)とDeFi(分散型金融)の双方に詳しい人材を目指すのではなく、金融商品や市場、制度、インフラがなぜ現在の形を取っているのかを理解し、その要となる機能や摩擦を見極めた上で、ブロックチェーンによる再設計の可能性と限界を考えます。金融商品そのものの成り立ちから、銀行・取引所・決済機関などのプレイヤーが担ってきた役割までを含め、既存市場の仕組みを構造的に捉えることを重視します。 プログラムは全8回・約8週間の構成で実施され、各回では金融・ブロックチェーン分野の第一線で活躍する専門家を招いたディスカッションを中心に進めます。受講生は毎回事前に提示される資料を読み込み、それをもとに発表・議論に参加し、専門家との対話を通じて理解を深めていきます。 ※ 資料は英語文献を含む100ページ前後のものを予定しています。 明確な「正解」を導くことを目的とするのではなく、金融とブロックチェーンの接続を自らの言葉で説明できる状態に到達することを到達目標としています。
暗号 × ブロックチェーン - プログラム設計・運営:ZK Tokyo
本SGでは、ZKP(ゼロ知識証明)やFHE(準同型暗号)、MPC(秘密計算)といった暗号技術を「ブラックボックス」として利用するのではなく、その数学的構造や設計思想を自らの手で再構築することを通じて理解を深めることを目的とします。 既存ライブラリを使いこなすことにとどまらず、計算の算術回路、制約条件、多項式コミットメントなどの基礎理論を踏まえた上で、なぜその方式が安全性や効率性を担保できるのかを構造的に捉えることを重視します。プライバシー保護や計算の正当性を支える暗号基盤を、数学と実装の両面から理解することを目指します。 プログラムは全7回・約7週間の構成で実施され、各回では理論レクチャーと実装課題、対面でのディスカッションを組み合わせて進めます。また、実践として各自の研究・開発プロジェクトを進めてもらいます。受講生は数式をコードに落とし込む実装を通じて理解を深めていきます。 最終的には、プライバシー保護や検証可能性を備えたシステムを自ら設計・実装できる水準に到達することを目標とし、暗号技術とブロックチェーンの基盤構造を自分の言葉で説明できる状態を目指します。
現代美術 × ブロックチェーン - プログラム設計・運営:伊東謙介(東京大学)
本SGでは、現代美術―現代 (の日本) をギュッと閉じ込めた作品―の制作を目的とします。参加者は自らのバックボーンや問題意識を出発点に、自分の文脈: すなわち「自分がどのように現代を解釈する人間で、どのようなものを後世に残したいのか」に自分で納得できるようになることを目指します。 こうした目的から、本SGでは絵画、映像、プログラミング、インスタレーションなど、表現の形式や素材に制約は設けません。ブロックチェーン的な要素を作品に含めることも、推奨こそすれ必須にはしません。他方で、20世紀以降の美術史や現代美術の評価制度に関しては基礎的なインプットを求めます。 プログラムは全6回 (1.5ヶ月) のグループワークと1ヶ月程度の制作期間から構成されます。グループワークでは、上述の基礎的なインプットを行ったうえで「あなたは現代をどう捉えており、その思いは美術史のどの動向とどのように繋げられそうか?A4 1枚以上でまとめよ」といった事前課題を準備してもらいます。当日は、この事前課題を参加者間で交換しあい議論する形式を予定しています。 重ねて、本SGでは有用性や再現性よりも、自分の文脈に対して自分自身が納得できるかどうかを重視します。参加者間の議論や批評を通じて文脈を磨き上げ、同時代に対する独自の応答として「自分が納得できる」作品の創出を目指します。
モビリティ × ブロックチェーン - プログラム設計・運営:芝野恭平(東京大学)
本SGでは、DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks)の代表的な応用領域の一つとして、モビリティ分野におけるブロックチェーン活用を取り上げます。車両ID、車載データ、中古車流通、バッテリー履歴といった具体的なテーマを題材に、物理的なインフラや実世界のデータを、どのように分散的に管理・検証・共有し得るのかを考察します。 NFTやトークン化といった表層的な仕組みの理解にとどまらず、なぜモビリティ領域において信頼性や透明性が重要となるのか、また中央集権的な管理ではどのような制約や課題が生じているのかを、DePINの視点から構造的に捉えることを重視します。 プログラムでは、車両の同一性管理(Vehicle Identity)、センサーデータの取得と利用を前提とした市場設計、改ざん防止や監査の仕組み、中古車やEV分野における履歴管理などを横断的に扱います。これらを通じて、分散型インフラとしての設計が、実世界のモビリティシステムにどのような変化をもたらし得るのかを検討します。 参加者は、公開資料や実際の事例をもとに、グローバルで議論されている標準化や制度動向と、日本の実務的な課題との関係を整理しながら議論を進めます。単に技術的な可能性を追うのではなく、制度・運用・コストといった現実的制約も踏まえた検討を行います。 本SGは全4回程度の短期プログラムとして実施され、各回では事前読解を前提としたディスカッションおよびグループワークを中心に進めます。専門家の知見や実務事例を踏まえながら、「どの領域に分散型インフラとしての設計が有効か」「中央集権的な仕組みを維持すべき領域はどこか」を自ら判断する力を養います。 最終的には、DePINという概念を抽象的なキーワードとしてではなく、モビリティ分野におけるデータ・信頼・価値の設計を具体的に考えるための枠組みとして理解し、ブロックチェーン活用の可能性と限界を現実的に評価できる状態に到達することを目標としています。
Web3プロダクト - プログラム設計・運営:Superteam Japan
本SGは、金融・暗号といった個別領域に閉じることなく、Web3業界全体のナラティブを俯瞰しながら、新しいプロダクトや事業アイデアを評価・改善するための判断軸を身につけることを目的とした、Web3プロダクトの総合的なスタディグループです。 技術の詳細を暗記することや流行を追うことを目的とするのではなく、DeFi、RWA、DePIN、Social、AI×Web3などの主要カテゴリを、「どのようなユーザー価値を提供しているのか」「どのような市場構造の上に成り立っているのか」というプロダクトの言葉で読み解くことを重視します。バズワード的な企画と、筋の良い企画とを見分ける視点を養い、アイデアを構造的に評価できる状態を目指します。 プログラムは全6回・約6週間の構成で実施され、前半は座学を中心にWeb3プロジェクトの見取り図やナラティブの整理を行い、中盤では既存企業や金融機関における導入事例を扱います。後半ではスタートアップのケーススタディを通じて、プロダクトがどのような仮説と意思決定の積み重ねによって形づくられてきたのかを具体的に学びます。各回では、講義に加えてディスカッションや質疑を通じて理解を深めていきます。 明確な「正解」を学ぶのではなく、企画を骨格化し、検証・改善・運用へと落とし込むための思考の型(Playbook)を身につけることで、Web3プロダクトを自ら評価し、次の一手を考えられる状態に到達することを到達 目標としています。
高校生限定コース - プログラム設計・運営:芝野恭平(東京大学)
本コースは、将来世代を対象としたブロックチェーン分野の基礎から応用までを体系的に学ぶことを目的とした特別プログラムです。夏休み期間を中心に、高校生の皆様が参加しやすい形式での実施を予定しています。 現在、カリキュラム内容や実施方法について詳細設計を進めており、確定次第、本サイトにて順次情報を公開いたします。 ※ 本SGのみ4月の詳細公開は行われません。設計が完成次第の公開となりますのでご了承ください。
> スケジュール
2月27日:仮申込受付開始
4月:本申込受付開始
6月-8月:応用実践プログラムの各SG実施
> 参加対象・選抜
対象者
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ブロックチェーン分野に強い関心を持つ方
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主体的に学習・研究に取り組める方
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専門性の深化を志す方
選抜方法
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必要に応じて申込時に課題や面談を実施する場合があります。
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各々のSGにより選抜方法は異なります。
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※ 企業・団体等からの参加も受け付け予定です。
> 仮申し込み受付
応用実践プログラムへの参加を検討されている方は、以下より仮申込みを行ってください。
※ 仮申込みをされた方には、本申込み開始時に優先的にご案内いたします。本申込みの受付は2026年4月以降を予定しています。
※ 仮申込みは参加を確約するものではありません。詳細なカリキュラムをご確認いただいた上で、本申込みを行うかどうかをご判断いただけます。
> よくある質問
Q. 各SGの詳細な案内はいつ公開されますか?
4月頃の公開を予定しています。
各SGのスケジュールやカリキュラムを含む詳細情報を掲載します。
仮申込みをされた方には、詳細公開時にメールにてご案内いたします。
Q. 起業が前提のプログラムですか?
いいえ。
本プログラムは人材育成を主目的としており、起業は必須ではありません。
SG横断のプロジェクト検討や起業家支援プログラムへの接続機会はありますが、研究・実務能力の向上や思考力の深化を目的とした参加も歓迎しています。
Q. 忙しくても参加できますか?
本プログラムは、一定の学習時間を確保できることを前提としています。
文献読解や発表準備、議論への参加など、主体的な取り組みが求められます。
参加をご検討の際は、期間中に十分な時間を確保できるかをご確認ください。
Q. 難易度はどの程度ですか?
各SGごとに求められる前提知識や到達目標は異なります。詳細は各SGの案内をご確認ください。
全体としては、参加者自身が文献を調査し、その内容を解釈・整理した上で発表・議論を行う形式を想定しています。理工系大学院のゼミに近い学習スタイルとなります。
Q. 参加後、内容についていけるか不安です。事前に学習できる教材はありますか?
各SGごとに、事前に目を通していただきたい参考文献や資料を案内する予定です。
詳細は各SGの紹介ページにて順次公開します。
Q. 生成AIの利用は可能ですか?
生成AIの活用は推奨しています。
文献読解や論点整理、アイデア創出などにおいて、AIを適切に活用しながら自らの理解を深める姿勢を重視しています。
ただし、最終的な解釈や議論の責任は参加者自身にあります。
Q. 開催形式(オンライン/オフライン)はどのようになりますか?
開催形式はSGごとに異なります。詳細は各SGの案内をご確認ください。
なお、対面での議論を重視するSGでは、オフライン開催を基本とする場合があります。
Q. 英語力は必要ですか?
SGによっては英語文献を扱う場合があります。
高度な英語力が必須というわけではありませんが、必要に応じて英語資料を読み進める姿勢が求められます。
また、海外ゲストを招く場合は英語での議論が行われることもあります。
Q. 公開講座を受講していなくても参加できますか?
参加は可能です。ただし、ブロックチェーンに関する一定の基礎理解があることを前提とするSGもあります。
詳細は各SGの案内をご確認ください。
Q. 法人からの参加は可能ですか?
法人・団体からの参加も受け付け予定です。
詳細な受入方法については別途ご案内します。
Q. 参加費はかかりますか?
基本的に無料です。
ただ、別途、教材等の購入費用が発生する場合もあります。
また、法人・団体からの受付については未定です。
Q. 途中参加・途中退出は可能ですか?
原則として全日程への参加を前提としています。やむを得ない事情がある場合は応募時にご相談ください。
カリキュラムやスケジュールは各SGの案内をご確認ください。
Q. 選抜はありますか?
応募状況やSGの定員に応じて応募課題等で選抜を行う場合があります。
また、必要に応じて面談を実施することがあります。
Q. 複数のSGに参加する場合、すべてのSGで選抜を通過する必要がありますか?
いずれか一つのSGへの参加が認められた場合、他のSGにも参加することは可能です。
ただし、SGによっては日程が重なる場合があり、また各SGとも相応の学習負荷を想定しています。まずは主たるSGへの取り組みを優先し、余力がある場合に他のSGへ参加するようにお願いします。

