SG名
高校生 × ブロックチェーン
概要
高校生 ✕ ブロックチェーンSGは、ブロックチェーン、暗号技術、非中央集権型システム、インセンティブ設計、AIエージェントなどに関心を持つ高校生を対象とした、少人数制の1日完結スタディーグループです。本SGでは、参加者が普段考えている問いや取り組んでいるテーマを出発点に、大学の研究者や同世代の参加者と議論を深めます。技術を単なる知識として学ぶのではなく、「なぜその仕組みが必要なのか」「どのような社会的・経済的・技術的課題につながるのか」を多角的に考えることを目指します。普段は周囲に話せる相手が少ない専門的な関心を、安心して深く議論できる場としての設計を心がけます。
目的
-
高校生が自ら関心を持つWeb3・暗号・AI・分散システム関連のテーマについて発表し、議論する
-
技術的知識だけでなく、制度設計、インセンティブ、社会実装、倫理的論点まで含めて考える力を養う
-
同世代の参加者や大学研究者との対話を通じて、自分の問いやプロジェクトを発展させる
-
発想の幅を広げ、将来的な研究・開発・探究活動につなげる
こんな方に向いています
-
ブロックチェーン、暗号技術、非中央集権型システム、インセンティブ設計、AIエージェントなどについて、自分なりに調べたり考えたりしている方
-
普段は周囲に専門的な話をできる相手が少ないが、同じ関心を持つ人と議論してみたい方
-
すでに個人プロジェクト、研究、開発、制作、探究活動に取り組んでいる方
-
技術そのものに加えて、その応用や社会との接点などにも関心がある方
進め方
-
応募時に事前課題を提出していただきます
-
事前課題は選考に使用するとともに、当日の発表資料としても使用します
-
当日の前半は、参加者による発表とそれに基づくディスカッションを中心に進めます
-
後半では、発表内容を踏まえた発展的テーマについて、自由討議を行います
-
研究者2名も議論に参加し、技術面・制度面の両方からコメントを行います
各回の準備
-
事前課題の有無:あり
-
提出形式:Google Slides
-
提出内容:以下の4問から少なくとも1問を選び、発表資料としてまとめる
-
想定作業量:関心テーマの調査・整理、および5〜10分程度の発表準備
-
提出物:Google Slides形式の発表資料
事前課題
以下の4問から1問を選び、Google Slidesで回答を提出してください。すでに取り組んでいる研究・開発・制作・探究プロジェクトがある場合は4を、それ以外の人は1-3からもうひとつ課題を選択して取り組んでください。
1. 金融 ✕ ブロックチェーン課題
以下のマネーまたはマネーに近いものから、少なくとも4つを選び問1から問4に回答してください。
ただし、民間銀行預金は必ず含めてください。また、ステーブルコインまたはトークン化預金の少なくとも一方を含めてください。
-
紙幣・硬貨
-
民間銀行預金
-
電子マネー(例:Suica、PayPayなど)
-
ステーブルコイン
-
トークン化預金
-
金貨、金、ビットコインなど、必要に応じて比較対象に加えてもよい
問1:それぞれはなぜ「お金」として使えるのか
選んだ対象について、それぞれがなぜ支払い手段や価値の保存手段として使えるのかを説明してください。
問2:それぞれの「お金」は、誰の信用によって成り立っているのか
選んだ対象について、それぞれが何(誰)によって価値を保っているのかを比較してください。
特に、民間銀行預金については、紙幣のような物理的なモノではなく、銀行の台帳上の残高であるにもかかわらず、なぜ多くの人が「お金」として使えると考えているのかを説明してください。
問3:それぞれの「お金」は、どこに記録され、どのように移転するのか
選んだ対象について、価値や残高がどこに記録され、支払い・送金・移転がどのように行われるのかを比較してください。
特に、ステーブルコインやトークン化預金については、現金、銀行預金、電子マネーと比べて、台帳のあり方や移転の仕組みが何と同じで、何が違うのかを説明してください。
問4:比較したうえで、あなたにとって「お金」と呼べるための最低条件は何か
問1から問3の回答を踏まえ、あなた自身の考えとして、「あるものがお金と呼べるための最低条件」を3つ程度に整理してください。
ただし、単に箇条書きにするのではなく、なぜその条件が重要だと考えたのかを、選んだ対象の比較に基づいて説明してください。
2. 暗号 ✕ ブロックチェーン課題
ゼロ知識証明、Zero-Knowledge Proof (ZK)を使う、またはZKを使うと意味がありそうなアプリケーション・プロトコル・ユースケースを1つ選び、分析してください。以下の例から選んでも、自分で考えたユースケースでも構いません。
例:
-
zkRollup
-
zkEVM
-
zkVM
-
Tornado Cash型の秘匿送金
-
Semaphore型の匿名メンバーシップ証明
-
World IDのようなProof of Personhood
-
zkEmail
-
zkTLS
-
ZKを使った年齢確認
-
ZKを使った成績・資格証明
-
ZKを使った投票
-
ZKを使ったゲーム、不正防止、ランキング検証
-
ZKを使ったAI推論結果の検証
-
自分で考えたZKアプリケーション
そのうえで、次の問いに答えてください。
問1:そのアプリケーションでは、何を証明したいのか
選んだアプリケーションについて、「証明したい主張」をできるだけ具体的に書いてください。
問2:何を公開し、何を隠すのか
そのアプリケーションにおいて、公開してよい情報と、隠すべき情報を整理してください。
以下の観点を含めること。
-
公開入力、public input は何か
-
秘密入力、private inputは何か
-
検証者は何を知れば十分か
-
逆に、検証者に知られてはいけない情報は何か
問3:なぜ普通の署名・ハッシュ・サーバー証明では足りないのか
ZKを使う前に、より単純な方法で同じ目的を達成できないかを考えてください。
以下と比較してください。
-
デジタル署名
-
ハッシュ/Merkle Tree
-
通常のサーバー認証
-
信頼できる第三者による証明
-
すべてを公開して検証する方法
そのうえで、ZKを使う必要がある理由を説明してください。
反対に、ZKを使う必要がない、または使うと過剰設計になる可能性がある場合は、その理由も述べてください。
問4:ZKアプリケーションとして実装する場合、何が難しそうか
そのアプリケーションを実際に作るとしたら、どこが難しいかを考えてください。
以下の観点から整理してください。
-
証明したい計算を回路やプログラムとして表現できるか
-
入力データの真正性をどう保証するか
-
証明生成は重すぎないか
-
検証はどこで行うか、オンチェーンかオフチェーンか
-
ユーザーは秘密情報をどう管理するか
-
証明を使っても、公開情報から個人が特定されないか
-
悪用や不正利用の可能性はないか
数学的に完全に説明する必要はありません。ただし、「ZKなら何でもできる」とせず、技術的・運用的な制約を考えてください。
問5:ZKの方式や技術スタックを調べる
選んだアプリケーションを実現するためのZK技術(方式・ツール)を以下の内容を元に調べてください。
既存プロジェクトを選んだ場合は、どの技術が使われているかを可能な範囲で調べてください。
-
どの証明方式が使えるか
例:Groth16、PLONK、STARK、Nova系、その他 -
どの言語・DSL・フレームワークが使えるか
例:Circom、Noir、Halo2、Cairo、RISC Zero、SP1、その他
3. 制度 ✕ ブロックチェーン課題
建国・独立・未承認国家の事例を複数参照しつつ、あなたが国家に最低限必要だと思う要素を5つ示してください。このとき、どの事例を参照し、なぜその5つを選んだのかを資料中で説明するようにしてください。
4. 自由課題
自分が現在考えていること、調べていること、作っているもの、取り組んでいるプロジェクトについて紹介してください。ブロックチェーン、暗号技術、AI、インセンティブ設計、分散システム、金融、アート、社会制度などに関係していれば、プロジェクトの形式は自由です。
スケジュール
-
応募締切:2026年8月11日
-
実施時期:2026年8月24日 13:00からを予定
-
回数:全1回
-
所要時間:半日程度を予定
-
実施形式:対面・オンラインのハイブリッド
開催場所・参加形態
-
会場:東京大学 本郷キャンパスを予定
-
オンライン参加:Zoomを予定
-
対象:高校生
-
参加費:無料
当日の予定
※内容は変更になる場合があります。
前半 (150分)
-
参加者による事前課題の発表
-
参加者同士でのディスカッション (事前課題の内容や普段考えていることについて)
後半 (150分)
-
参加者の関心に応じた発展的テーマの設定
-
参加者同士でのディスカッション (発展的なテーマについて)
後半のディスカッションでは、ブロックチェーン基盤、暗号技術、非中央集権型システム、インセンティブ設計、AIエージェントなど、参加者の関心に応じた発展的なテーマを設定し、議論します。必ずしも現実にすぐ実装できる問題に限定せず、高校生ならではの発想を歓迎します。
想定される成果
-
自分の関心テーマを整理した発表資料
-
研究者や同世代の参加者からのフィードバック
-
今後深めたい研究・開発・探究テーマの発見
-
Web3や暗号技術を、技術・社会・制度の両面から捉える視点
応募要件
-
高校生であること
-
ブロックチェーン、暗号技術、Web3、AI、金融、アート、制度設計などのいずれかに強い関心があること
-
応募時課題をGoogle Slidesで提出できること
-
当日、自分の考えを発表し、他の参加者の発表にも積極的にコメントできること
定員
5名-10名程度
選抜方法
-
書類選考:あり
-
面談の有無:原則なし
-
評価観点:関心の深さ、問いの面白さ、発表内容の明確さ、議論への参加意欲
-
応募多数の場合:提出課題をもとに選抜します
注意事項
-
完成された研究やプロダクトを用意する必要はありません
-
むしろ「まだうまく言語化できていないが、強く気になっている問い」を歓迎します
-
生成AIの使用を推奨しますが、当日の発表は自分自身の理解と言葉で説明できるようにしてください
-
本SGは、特定の政治的立場や投資判断を推奨するものではありません
FAQ
Q. ブロックチェーンの実装経験がなくても参加できますか。
A. 参加可能です。実装経験よりも、自分なりの問いや関心を持っていることを重視します。
Q. 数学やプログラミングの知識は必要ですか。
A. 必須ではありません。ただし、暗号技術やプロトコル設計に関心がある場合は、基礎的な数学・プログラミング経験があると議論しやすくなります。
Q. 自分のプロジェクトを発表してもよいですか。
A. はい。自由課題として、現在取り組んでいる研究、開発、制作、探究活動を発表できます。
Q. 発表資料はどの程度作り込む必要がありますか。
A. Google Slidesで、5-10分程度で説明できる内容を想定しています。選抜にあたっては、資料自体の完成度よりも問いの面白さや自分なりの考察を重視します。
応募方法
-
応募締切:2026年8月11日
-
応募方法:応募フォームよりお申し込みください
-
選考結果連絡:メールにて連絡予定
運営責任者・担当
芝野 恭平(Kyohei Shibano):東京大学大学院工学系研究科 特任研究員 博士(工学)
https://researchmap.jp/shibano
東京大学ブロックチェーン公開講座の運営・講義を担当し、ブロックチェーンの応用研究に従事。プロトコル設計に精通し、技術的な制約や課題を踏まえた実用的なアプローチを探求している。特にブロックチェーンの活用領域を広げることに関心があり、現在はゼロ知識証明を活用した新たな応用方法の提案とその可能性の追求に取り組む。加えて、Nonagon Capital にも関与し、海外のクリプト領域におけるプロジェクトや技術動向に関する知見を有する。
伊東 謙介(Kensuke ITO):東京大学工学系研究科 特任研究員 博士(学際情報学)
現代美術家。社会経済が停滞・膠着する日本で、美術品の価値を決める制度設計自体を同時代性あるコンセプチュアル・アートと捉え、スーパーフラット以後の芸術運動の可能性を探る。2021年に東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(卒業生総代)。カイカイキキでのアルバイトとスタートバーン株式会社の創業参画を経て、現・東京大学ブロックチェーンイノベーション寄付講座特任研究員。2023年にEUKARYOTEで初個展開催、2025年にdrawCircle Galleryでグループ展「メディアアートは潰す」主宰。



