top of page
検索

2025年度公開講座受講体験記(社会人・エンジニア・男性)

  • 執筆者の写真: shibano
    shibano
  • 2月27日
  • 読了時間: 7分

自己紹介

私は、Web2領域で活動しているフリーランスのソフトウェアエンジニアです。地方在住、フルリモートで業務をしていて、比較的柔軟な時間管理が可能な働き方をしています。理系専攻で大学院を修了しており、ウェブ技術に加え一定程度の数学的素養も有しています。

 

ブロックチェーンとの関わりはほとんどありませんでしたが、米国トランプ大統領の2期目就任後の、暗号資産の盛り上がりを受けて「資産」として興味を持つようになりました。

 

受講前の知識については、Solidityという開発言語があることは知っている、他にも用語をなんとなく耳にしている程度で、内容については十分に理解できていない状況でした。開発経験も学習経験もなく、DAOに参加することもなく、NFTの購入もありませんでした。

 

受講動機と期待

実務において、一機能としてNFTを扱う案件に参加する機会がありました。ただし、同じプロジェクトでもコア部分は別チームの担当であり、私はインターフェースだけを目にする程度でした。そのような中で、ブロックチェーン公開講座のことを知りました。学習の場や教材を探していたわけではなく、偶然YouTubeで講座の紹介動画を目にしたことがきっかけでした。業務を通じて間接的に触れていたブロックチェーンのことを、技術者として理解したいと思い、受講を決めました。受講前に最も期待していたことはDApps開発まわりを掴むことでした。合わせて、トークンエコノミクスやゼロ知識証明についても面白そうだと思いました。

 

私はオンライン形式で受講しました。受講を決めた当初の予定としては、グループワークは不参加にし、試験は不参加も視野に入れて、さしあたって講義を聴くだけ聴いておこう、くらいの軽い気持ちでした。ソフトウェアエンジニアですので、Linux講義などの基本的なプログラミング学習は不要かなとも思いました。

 

講座内容と体験

オンライン受講でしたが、最初はリアルタイムで視聴していました。途中からは自分の都合に合わせて学習できるアーカイブ視聴へと移行しました。しかし、後回しにしてしまい、未視聴の講義が溜まってしまう時期がありました。その結果、Discord上の話題にもついていけず、学習意欲も低下してしまったこともあります。その後、中間試験を機になんとか追いつき、Term2からは準リアルタイムで受講するようにしました。最終試験に向けては、アーカイブを繰り返し視聴して臨みました。その際、受講していない前年度のアーカイブ視聴も役に立ちました。

 

受講前には、SolanaやSuiといった比較的新しいブロックチェーン技術を学ぶのが良いのではと、寡聞ながら思っていました。しかし、そこは専門家によってカリキュラムが練られています。ブロックチェーン技術の基本的な設計や非中央集権の考え方を、体系的に、かつ幅広く学ぶことができました。疑問に思ったところを調べるため、講義資料中の参考文献は有難かったです。当初なんとなく難しそうだと思っていたゼロ知識証明についても、講義を経て概念を理解し、多少なりとも扱えるレベルになりました。

 

講義内容で特に印象に残っているのは、エンタープライズブロックチェーンです。日常で見聞きするのはまずパブリックチェーンですが、調べてみるとエンタープライズブロックチェーンも実社会で幅広く活用されていることがわかり驚かされました。その講義を起点に周辺技術を自習する中で、ブロックチェーンのデータ構造をそのままデータベースに持ち込んだ「台帳データベース」の存在を知ったときは、言われてみればと、目から鱗が落ちる思いでした。改ざん耐性と検証可能性を、必ずしもP2Pネットワークを組まずとも実現するアプローチがあることを知り、技術的な引き出しが大きく広がったと感じています。

 

本講座は、ブロックチェーンについて「知る」ためのインプットとしては申し分ありません。一方で、「身につける」には講義だけでは全然足りません。「ガニェの9教授事象」でいう「練習の機会」の不足は、自己で補う必要があります。採点や評価がされなくても、演習課題がもっと用意されていれば、より理解も進み実務にも繋がるのではないかと思いました。

 

とりあえず講義を聴くだけ聴いておこう、という気持ちで受講を始めた私ですが、最終的にはグループワークにも参加しました。アクティブラーニングとしての機能はもちろん、専門家から直接フィードバックをいただける環境は、独学では決して得られない貴重な体験でした。グループワークでは、2ヶ月の間、5人でWeb3に関連するサービスを考案しました。幸いなことに、チームメイトにも恵まれました。90分の予定だったオンラインミーティングが倍の3時間を超えることもあり、時間の確保は大変でしたが、議論が終わった後もそのまま遅くまで雑談したりと、有意義な時間でした。最終発表会とその後のパーティーにもメンバー全員が集まり、交流を楽しむことができました。

 

受講後の変化

本講座を修了し、DAppsを自分の手で設計・開発できるという自信を得られました。前述のNFTを扱う案件でも、今ではAPIそれぞれの意味が理解できます。実際に保守業務を担当しているわけではありませんが、仮に担当することになった場合でも、主体的に対応できるだけの能力は身についたと考えています。受講前に抱いていた、ブロックチェーンのことを技術者として理解したいという期待については、本講座は十分に応えられていると感じています。

 

現在でも、自身の知識が十分とは言えないことは自覚していますが、今後ブロックチェーン技術を取り入れたサービスの開発をしてみたいという意欲が湧いています。また、知的好奇心も刺激され、離散数学や暗号学の分野も少しずつ学び始めました。

 

さらに、技術的な側面だけでなく、組織運営におけるインセンティブ設計について、深く思考するようになったのは意外な変化でした。ブロックチェーンがトークンエコノミーによって自律的なネットワークを維持するように、人間社会やプロジェクト運営においても、いかに参加者のモチベーションと全体の利益を合致させるかが重要であると意識するようになりました。この設計思想を学んだことで、Web3領域以外でもより俯瞰的な視点で物事を捉えられるようになったと感じています。実際には非金銭的インセンティブの設計も重要であり、仕事や生活への応用はこれからの課題ですが、思考の枠組みが広がったことは確かです。

 

また、日常においての情報の受け取り方も変わりました。ニュース等でブロックチェーンの利用シーンに目が向くようになり、話題を見聞きしたときに、その意味もわかるようになりました。

 

これから受講を検討している方へのメッセージ

本講座は講座概要に記載されている通り、学生から社会人まで、ブロックチェーン技術に興味がある方であればどなたでもオススメできる内容です。いずれの方にも、ブロックチェーンを学ぶ第一歩として最適だと感じました。Discordでは、調べてみたことや実際にやってみたことを共有することで、フィードバックが貰えて深く学べます。

 

全体的な難易度としては理工系の知識がある方のほうが理解しやすいと思いますが、非エンジニアの方でも興味のあるテーマに絞って受講し、ビジネスのヒントを得るという活用方法も見つけることができると思います。

 

受講にあたって、必ずしもプログラミング経験は必須ではありませんが、Web2の仕組みをある程度理解しておくと、ブロックチェーンの意義や特徴をより深く理解しやすくなると思います。ブロックチェーンが有効な場面だけでなく、ブロックチェーンが必ずしも適していない場面もぜひ同時に学んでみてください。

 

個人的には、ブロックチェーンの知識を持つ法律家や税理士といった専門職も増えてくれると嬉しいです。さまざまなバックグラウンドの方が、Web3の専門知識を身につけ、さまざまな業界で活躍していくことを願っています。

 
 

最新記事

すべて表示
2025年度公開講座受講体験記:「なんとなく」の理解から、確かな「武器」へ。チケット流通の現場で私が学んだブロックチェーンのリアル(社会人・チケット業界勤務)

1. 自己紹介 私は現在、エンタテインメント業界でコンサートやイベントの「チケット流通」を支える企業に勤務しています。 華やかなステージの裏側で、興行ごとの座席を管理したり当日のチケット販売窓口でスタッフ達のサポートをしたりするのが私の仕事です。チケットは、ファンの方々にとって「夢へのパスポート」とも言える大切な存在です。だからこそ、システムトラブルで入場が遅れるようなことは許されません。そんなシ

 
 
2025年度公開講座受講体験記(学生)

受講をおすすめしたい方のタイプ 本講座の受講を強くおすすめしたい方は、ブロックチェーンに関係する技術や仕組みについて知りたい方です。ソフトウェアエンジニアだけでなく、ブロックチェーンの社会実装や応用に関心がある方にとって、基礎から学ぶことは大いに役立つはずです。後述するように、学習コミュニティは初学者にも非常にやさしい場でした。また、万が一自分に合わないと感じた場合は途中で離脱することも可能ですの

 
 

© 2026 Endowed Chair for Blockchain Innovation, the University of Tokyo All rights reserved

bottom of page